エデュケーションプロジェクト

ごあいさつ

日本では昔から植物を日常生活に取り入れて、季節を感じて暮らしていました。
最近は身近に野の花が咲く景色も少なくなり、床の間や和の暮らしが減り、いけばなも敷居が高いと敬遠されて習う人が減少しているそうです。
私たちは、2017年より植物をもっと身近に感じて頂きたいと願い、年中行事をテーマに単発で参加可能なワークショップを開催してきました。会場は暮らしと密にある築200年以上の歴史を残す京町家。 子どもも大人も大歓迎です。
年中行事の由来を学び、植物に触れ、会話を楽しむことで、心豊かな生活と未来へ継承することを願い、行って参りました。こんな意味があったんだ!次はおうちでもやってみよう!など、
気づきや継承の架け橋となれば嬉しいです。
取り組み事例をご紹介いたします。
なお、今後も植物だけでなく、食文化、伝統工芸などとともに開催を
予定しております。be京都の京町家をモデルとして、一緒に年中行事を
コーディネートしていただける方も歓迎いたします。

~開催報告とご紹介~〈2019~2020年〉

主催:be京都エデュケーションプロジェクト
採択:平成31年度上京区民まちづくり活動支援事業
講師・監修華道:嵯峨御流 石川利佳甫
会場:町家ギャラリーbe京都
イラスト:石立ゆきな

五節句の一つである端午の節句は、旧暦の五月五日。この頃は雨季にあたり、疫病などを祓うとされる香りの強い「真菖蒲(ましょうぶ)」「蓬(よもぎ)」を用いた。
例えば屋根の上に飾る「軒菖蒲」、お風呂に用いる「菖蒲湯」、枕の下に入れる「菖蒲枕」飾りとして「薬玉」なども作られた。
ワークショップでは和紙と水引を用いて真菖蒲と蓬を包む飾りを作り、また町家の屋根にその飾りを投げて飾る体験をした。

参考)上京ふれあいネットカミングレポート
http://www.kamigyo.net/public_html/event_report/report/201806052/

紫陽花の花が大きく成長することから枕元に吊るすと病が治まる、また幸運が訪れる、金運が上昇する等の民間伝承が各地に残っている。現在でも神社に伝わっている所がある。
ワークショップでは半紙に願い事を書き、 和紙と水引それに開催地である西陣に因み五色の糸を用いて紫陽花を包む飾りを作り、町家の床の間に下げる体験をした。

中国で裁縫や習字の上達を祈る行事「乞巧奠(きっこうでん)」が日本に伝わり、旧暦七月七日の七夕の節句となった。咲き始めた秋の七草を飾り、天の川を渡る彦星、織姫の乗る舟の舵(かじ)に通じる「梶」の葉に願い事を書いて川に流した。 宮中では秋草をたばねた「七夕花扇」が近衛家から届けられた。
ワークショップでは里芋の葉の上の露で墨を摺り、梶の葉に願い事を書いて、川に見立てた水盤に浮かべる「梶の葉流し」、色紙(いろがみ)の梶に願い事を書いて笹に飾る「笹飾り」の体験をした。また秋草を用いて束ねて作る「七夕花扇」を作り、 同じく川に見立てた水盤に浮かべた。

参考)上京ふれあいネットカミングレポート
http://www.kamigyo.net/public_html/event_report/report/20170813/

旧暦八月十五日の「十五夜」に五穀豊穣を感謝して「稲穂」に見立てた「芒(すすき)」を飾る。
芒などの秋草を和紙や水引で束ねた飾りを作り、町家の床の間に飾った。

九は陽数の最大の数であり、その重なった日に健康長寿を祝う。中国では男性が「茱萸袋」を身につけて高い山に登り、「茱萸」を食べて「菊酒」を飲む。日本では平安貴族が「着せ綿」を楽しんだ様子が「枕草子」や「紫式部日記」に残る。 「着せ綿」は主に女性が、九月八日に菊の上に真綿を乗せて、翌日朝露を含んだ綿で身をぬぐい清めた。
ワークショップでは「着せ綿」を体験し、「菊酒」「菊茶」の試飲をした。初の試みとして和菓子「着せ綿」とお抹茶の体験も開催。「着せ綿」をした菊を「茱萸袋」に見立てた和紙の折り紙にいける飾りを作った。

十一月二十三日は新嘗祭(にいなめさい)。宮中では五穀(米、麦、粟(あわ)、豆、黍(きび))などがお供えされ、収穫に感謝し、翌年の豊作を願う行事が行われる。
初の試みとして京都市京北の農家の方のご協力を得て、新鮮な葉付きの野菜を葉盆に見立てた折り紙の器に盛り、季節の花を添えるアレンジを制作し、床脇に飾った。

イエスキリストの誕生を祝う西洋では最大の行事。「クリスマスツリー」や「クリスマスリース」の考え方は日本のお正月の「門松」「結び柳」に通じるものがあるのが面白い。
各自オーナメント、花材などを自由に選び、「ミニクリスマスツリー」を制作した。

旧暦三月三日は上巳の節句。本来は川で「禊(みそぎ)」をしたが、「人形(ひとがた)」を川に流すようになり、「流し雛」となった。後に人形が豪華に飾られるようになり現在の「雛人形」となる。
和紙、水引で「桃」「柳」「菜の花」「スイートピー」を束ねて、俵を模した「柳」で編んだ輪に留めた掛け飾りを作り、床の間に飾った。

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